ブロードコム決算で株価が下がった理由:AI好調でも“粗利”が嫌われた

米国株式

※本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

結論:売上は強いのに、株は“儲けの見え方”で売られた

ブロードコム(AVGO)のFY2025 Q4決算は、売上もAI関連も強い内容でした。
それでも株価が軟調になりやすかった背景として、市場の注目が「売上の伸び」よりも
「利益率(粗利率)の見え方」に寄った点が挙げられます。

とくに次四半期に粗利率が約1%(=100bps)低下するという見通しが意識されると、
同じ売上成長でも「利益の質が弱い」と受け止められやすくなります。

用語メモ:
・粗利(あらり)=売上 − 原価(儲けの上澄み)
・粗利率=粗利 ÷ 売上(上澄みが何%あるか)
・bps(ベーシスポイント)=1%を100bpsと数える単位

決算の強いところ

  • 売上高:$18.015B(前年同期比 +28%)
  • 調整後EPS(Non-GAAP):$1.95(前年同期比 +37%)
  • AI半導体売上:$6.5B(前年同期比 +74%)

さらにFY2026 Q1の見通しとして、売上高は約$19.1BAI半導体売上は約$8.2Bという強い数字が示されています。

市場が嫌がったポイント:粗利率の低下見通し

今回の論点はここです。AI向けが伸びるほど、コストの高い部材や、
パッケージングを含む“システム提供”の比率が上がりやすい、という見方があります。

こうしたコストは価格に上乗せして顧客へ転嫁(パススルー)できる面もありますが、
売上の中身(ミックス)が変わると、粗利率(%)は薄まりやすいことがあります。
結果として「売上の伸び」よりも「利益率が下がる」方に注目が集まり、株価は調整しやすい――という整理です。

用語メモ:パススルー=コスト増を販売価格に上乗せして、顧客に負担してもらうこと

それでも強気材料は残る:AI需要とバックログ

AI需要の強さを示す材料として、決算説明会でAI製品の受注残(order backlog)が約730億ドルで、今後約18ヶ月(次の6四半期)で出荷見込みと説明されています。
ただし受注残は「いつ」「どの程度の利益率で」売上になるかは別問題です。

そのため、次の見方が実務的です。

  • 需要の強さ:AIの案件が積み上がっているか
  • 売上化の確度:供給制約・顧客集中・ミックスの変化でブレないか

第5の顧客について:外向けは“非開示”で扱うのが安全

決算の話題で「第5の顧客はどこか?」が先行しがちですが、社名が公式に開示されていない限り、本文では「非開示」として扱うのが安全です。

リスク材料:顧客集中と供給制約でブレやすい

AI需要が強くても、株価が不安定になりやすい理由があります。特に注意したいのは「顧客集中」と「供給制約」です。

  • 顧客集中:少数の大口顧客への依存度が高いと、受注や発注タイミングの変化で業績が揺れやすくなります。
  • 供給制約:製造能力・部材・先端パッケージ工程などに制約があると、需要があっても売上化が遅れたり、コストが増えたりする可能性があります。

この2つが同時に重なる局面では、売上のズレや利益率の変動が起きやすくなります。

※以下の図で「顧客集中 × 供給制約」の組み合わせを整理します。

次の決算までに見るべき3つ(チェックリスト)

  1. 粗利率:ガイダンス通りの下げ(約100bps)で止まるか
  2. AI半導体売上:約$8.2Bのガイダンスを上振れできるか
  3. AIの内訳(ミックス):カスタムシリコン/ネットワーク/システム提供の比率がどう変化するか

この3つが改善方向なら「売られすぎ」の見方が強まりやすく、逆に悪化するなら調整が長引く――
という整理でチェックすると判断がブレにくくなります。

まとめ:AIは強い。でも今は「粗利の見え方」が勝負所

AI需要そのものは強い一方で、いま市場は「AIが伸びるか」だけでなく、AIでどれだけ儲かるか(利益の質)を見ています。
売上の伸びとあわせて、粗利とその持続性までセットで確認していくのが、リスク管理としては堅いです。

出典

  • Broadcomの決算発表リリース(FY2025 Q4 / FY2026 Q1見通し):PRNewswire掲載のリリース
  • バックログ(約$73B、今後18ヶ月/6四半期)に関する報道:Reuters ほか
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