市場が荒れると「関係ない資産」まで下がる?換金売りの波及メカニズムを整理

米国株式

最近は、仮想通貨が大きく下げ、米株も売られ、銀は急落し、金も銀ほどではないにせよやや売られる──そんな「全体の雰囲気が悪い」局面が目立ちます。

きっかけとしては、1月末の金銀の急落の余波、米株(特にテック株)の売り、仮想通貨でレバレッジの清算(強制決済)が増えたことなどが、よく挙げられています。

ただ、本記事のテーマは「犯人探し」ではありません。
こうした局面で起きやすいのが、損失の穴埋めや証拠金の補填のための換金売りです。これが市場をまたいで波及すると、「ひとつの市場の下げ」が「別の市場の下げ」につながり、全体の上昇の足を引っ張りやすくなります。

YouTube解説:

まず押さえるべきポイント:下落は「3段階」で波及しやすい

下落の波及は、ざっくり次の3段階で整理できます。

ステップ1:レバレッジ市場でロスカットが連鎖する

レバレッジとは、信用取引や先物で資金をふくらませて取引することです。レバレッジが効いている市場は、値動きが逆に振れたときにロスカット(強制決済)が出やすく、売りが売りを呼ぶ展開になりがちです。

ステップ2:証拠金の補填・損失補填のために「別の資産」が売られる

レバレッジ取引では証拠金(担保のようなもの)が必要です。価格が逆方向に動いて証拠金が不足すると、現金を作る必要が出ます。ここで起きやすいのが換金売りです。

重要なのは、換金売りが主役になってくると、その市場に悪材料が出ていなくても下がることがある点です。下落の理由を探しても「これといった材料が見当たらない」という状況になりやすいため、材料探しだけで判断しようとすると見誤ることがあります。

ステップ3:売られた先の市場でも二次ロスカットが起きる

換金売りで別の市場が下がると、そこでもレバレッジ勢のロスカットが発生し、さらに現金が必要になり、また別の資産が売られる──という形で、波及がもう一段進むことがあります。

「安全資産の金」が売られることがある理由

一般的に、株や仮想通貨などのリスク資産が売られる局面では、相対的に金が買われやすいと言われます。

ただし、換金売りが強い局面では、金も売られることがあります。理由はシンプルで、「安全だから買う」よりも「現金が必要だから売る」が優先される瞬間があるからです。特に短期資金が入りやすい環境では、利益確定やポジション整理の売りも重なりやすくなります。

視聴者向けチェックリスト:次に見るべき「波及のサイン」

ここからは、換金売りが波及しそうかを想定しやすくするためのチェックリストです。難しいデータを全部追う必要はなく、まずは順番と広がり方を見ます。

なお、レバレッジのポジションが溜まっている市場は下落に脆くなりやすい一方で、「いつ崩れるか」を当てるのはかなり難しいです。タイミング予測よりも、波及しやすい条件が揃ってきたかを点検する視点が有効です。

チェック①:最初に崩れたのは「レバが効きやすい市場」か?

  • 仮想通貨先物、値動きの大きい銘柄、指数先物など、レバレッジが乗りやすいところが先に崩れているか
  • 急落直後に「清算」「強制決済」が話題になっているか

チェック②:下げが局所で終わらず、複数の資産に広がっているか?

株だけ、仮想通貨だけ、みたいに局所的な下落ならまだ良いです。
でも、複数の資産が同じ方向に下落する時間が増えてくると、換金売りフェーズに入っている可能性が出てきます。

チェック③:次に巻き込まれそうな市場が「損切りが集まりそうな水準」に近いか?

直近安値や節目など、「ここを割れると投げが出やすい」と見られているラインに近いかどうかがポイントです。
大多数の投資家が同じ大局観を共有してポジションが偏っていないか、そして大多数の投資家が損切りオーダーを置きそうな水準がどこかを考えてみてください。
その損切りオーダーに近ければ近いほど、次の延焼先として意識されやすいです。

注意点:全面崩壊は「いつも」起きるわけではない

換金売りが波及して、他の市場にレバレッジの燃料が残っていたとしても、そこが必ず崩れるとは限りません。市場全体が一斉に全部崩れるケースは、そこまで多くないのも事実です。どこかで買いが入り、耐える市場も出ます。

ただし、ショック級の材料が出ると話は別です。強い市場だろうが関係なしに換金売りが発生してロスカットの連鎖が起こることがあります。ここは要注意です。

日頃から見ておくと効く指標:OIとポジションの偏り

市場ごとの先物ポジションのOI(オープン・インタレスト=未決済建玉)や、ポジション比率は、日頃からちょこちょこ見ておくと良いです。米株や日本株でも「レバレッジが過去最高」という形で報道されることがあります。

これは今日明日の動きを当てる道具というより、下落した時の燃料がどれくらい溜まっているかをざっくり把握するためのチェックです。急落が起きた時に、どの市場が一番悲鳴が上がるか等の想定がしやすくなります。

※注意:OIは「売り買い両方の合計」です。OIだけで「強気/弱気」を断定しないようにし、価格の動き、出来高、ポジションの偏りなどと合わせて見てください。

いつが「落ち着いた/買い場になりやすい」?

全体が急落してポジションの整理が進むと、本当は売りたくない人までロスカットに巻き込まれて売らされてしまった、という状況が増えてきます。そういう人たちは相場が反転したときに買い直しに動くことも多く、短期的には反発しやすくなる局面があります。

また、大規模なロスカットの連鎖が起こった後は、通常よりも割安になっている事も多く、結果として買い場になる事もあります。

ただし、まだ売り足りない人が多かったり、景気や企業業績といった根本要因が悪化している場合は、整理が進んでも下げが続くことがあります。そこは分けて考えるのが大事です。

まとめ:原因探し+「波及」の想定があると立ち回りやすい

どこかの市場で強烈な下落が起きた時は、下落の原因探しも大事ですが、

「レバ市場のロスカット」→「換金売り」→「二次ロスカット」

この波及を想定しておくと、上手く立ち回れるかもしれません。

今はスマホの操作ひとつで、どこの市場にも簡単にアクセスできる時代です。急な値動きが起こった時は、一見関係のない市場同士が相互作用して、売りが波及しやすくなるので注意が必要です。

ただし、燃料が残っているからといって全面崩壊確定という想定はしないように注意です。

賢明なる投資家チャンネルでは、こうした「相場の仕組み」をできるだけシンプルに解説していきます。相場が荒い局面でも振り回されにくくするために、ぜひ今回のチェックリストを活用してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・投資手法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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