プロのアナリストでも金価格を大きく外す――これが現実
実際、LBMA(ロンドン地金市場協会)の予測調査では、2025年の金の予測平均は2,735ドルだったのに対し、実績平均は3,431ドルと大きく上振れしました。銀も、予測平均32.86ドルに対して実績平均40.03ドルという結果です。
では2026年はどうでしょうか。2025年2月19日時点で、金は約5,013ドル、銀は約79ドルで推移しています。
今回は「予測を当てにいく」話ではありません。金6,000ドル・銀150ドルという強気シナリオの出どころと、それを支える材料、そして見落とされがちなリスクを、年次を揃えて整理していきます。
YouTube解説:
強気予測の「出どころ」を確認する
金の予測
まず金から見ていきましょう。
- JPモルガン:中央銀行と投資家需要を背景に、2026年末に6,300ドルを見込む
- ゴールドマン・サックス:2026年末の予想を5,400ドルへ引き上げ
- ドイツ銀行・ソシエテ・ジェネラル:2026年末に6,000ドル到達を予想
つまり、同じ「強気」でもレンジがあり、6,000ドルは”強気側の中心〜上振れ寄り”に位置づけられる水準です。
銀の予測
次に銀です。
報道ベースでは、シティグループが短期の銀予想を150ドルへ引き上げたという話が出ています。同じ記事内で、BofAのストラテジストが170ドル目標に言及しており、強気な声は確かにあります。
ただし、銀150ドルは現状(約79ドル)から見てほぼ倍で、短期ほどブレが大きい前提で扱う必要があります。
金価格を支える材料
金の材料は、大きく分けて2つです。
(1)中央銀行の買い
WGC(世界金協会)の整理では、以下のような推移となっています。
- 2024年:1,045トン
- 2025年:863トン(ペースは落ちても高水準)
- 2026年:JPモルガンは800トンと予測
(2)金利・金融政策の思惑
金は利息を生まない資産なので、金利見通しが価格に影響します。
ゴールドマン・サックスは、2026年にFRBが利下げする可能性(50bp)を前提に、ETF需要の改善も見込んでいます。一方で、直近のFOMC議事要旨を受けて、市場では利上げ余地と利下げ余地の両方が意識されている状況です。
銀価格を支える材料
銀の材料は、「供給不足」という言葉だけで片付けると危ないので、内訳を見ていきましょう。
シルバー・インスティテュート(Metals Focus推計)によると、2026年は構造的な供給不足が約6,700万オンスの見込みです。
ただし中身は一枚岩ではありません。
- 工業需要:2%減少して6.5億オンスと予測(太陽光分野の”節銀”や代替が背景)
- 現物投資(バー・コイン):20%増えて2.27億オンスの見通し。投資が需要を支える構図
そして銀は、値動きが激しいのが特徴です。シルバー・インスティテュートの説明でも、銀は2025年に大きく上昇し、2026年1月末に記録的高値を付けた局面がありました。
予測が外れやすい理由
ここが今回いちばん重要なポイントです。予測は外れます。
LBMAの予測調査(2025年)では、以下のような乖離が生じました。
- 金:予測平均 2,735ドル → 実績平均 3,431ドル
- 銀:予測平均 32.86ドル → 実績平均 40.03ドル
専門家の平均でも大きな乖離が出たのです。
しかも銀は、上昇局面ほど反落も速い傾向があります。実際、BofAも「急な押し戻しのリスク」を明言しつつ、強気目標に触れている状況です。
現実的な見立て
では、どう見立てるのが現実的でしょうか。
金の6,000ドルについて
以下の強気レンジの中で、「到達しうるが、前提条件が崩れると外れやすい」水準と言えます。
- ゴールドマン・サックス:2026年末 5,400ドル
- JPモルガン:2026年末 6,300ドル
- ドイツ銀行/ソシエテ・ジェネラル:2026年末 6,000ドル
銀の150ドルについて
短期で唱えられる”上限シナリオ”としては存在します。ただ、足元が約79ドルであることを踏まえると、短期で倍化=ボラティリティ前提であることを理解しておく必要があります。
重要なのは
結局、重要なのは「いつ・いくら」を当てにいくことではありません。
中央銀行の買い、金融政策、需給(特に投資需要の回復)が揃っているかを点検しながら、リスク許容度に合ったサイズで向き合うのが実務的なアプローチです。
まとめ
金6,000ドル・銀150ドルは、話題性はあります。ただし、過去の実績が示す通り、専門家の予測でも大きく外れることは珍しくありません。
数字に踊らされず、「その数字が成立する条件が揃っているか」を見る。それが、予測と付き合ういちばん現実的な姿勢です。


