MSCI「暗号資産トレジャリー企業」除外提案とは?“50%ルール”と株価への影響、個人投資家の備え方

暗号資産

2025年末、世界的な指数プロバイダーであるMSCIが、暗号資産(主にビットコイン)を大量に保有する企業の指数適格性を見直すコンサルテーション(意見募集)を行っています。結論から言うと、条件に当てはまる企業がMSCIのグローバル株式指数から外れる可能性があり、対象銘柄は短期的に値動きが荒くなるリスクがあります。

本記事では、「何が変わろうとしているのか」「なぜ株価に影響し得るのか」「個人投資家は何を確認すべきか」を整理します。

YouTube解説:

1. 何が起きている?MSCIの提案の要点

MSCIが議論しているのは、いわゆる「暗号資産トレジャリー企業(Digital Asset Treasury Companies)」の扱いです。ポイントは次の2つです。

  • 定量面:暗号資産の保有額が、総資産の50%以上を占める
  • 定性面:主要な事業活動が、暗号資産トレジャリー活動(保有・運用・買い増し等)とみなされる

この条件に該当すると、MSCIはそれらの企業を「事業会社」ではなく、投資事業体(投資ファンドに近い性格)として扱い、株式指数から除外する方向で検討しています。

2. 重要なタイムライン(いつ決まって、いつ影響が出うる?)

現時点で示されている主な日程は以下の通りです(変更される可能性があります)。

項目 日程・内容
意見募集(コンサルテーション) 2025年12月31日まで
最終決定(予定) 2026年1月15日に結果発表(予定)
適用開始(予定) 2026年2月の四半期指数見直し(February 2026 Index Review)で実施(予定)

特に注目されやすいのは、2026年1月15日(予定)の結果発表と、2026年2月の指数見直しです。指数イベントは、株価が材料に反応しやすいタイミングになり得ます。

3. なぜ株価に影響し得るのか(2つのルート)

(1)指数連動資金の売買が発生し得る

MSCI指数に連動するインデックスファンドやETFは、指数の構成が変わると、機械的に売買(リバランス)を行います。もし除外が実装されれば、対象銘柄には「指数要因の売り」が出る可能性があります。

ただし、影響の大きさは一律ではありません。どの指数にどれだけの連動資金があるか、対象銘柄の指数内ウェイト、他の指数プロバイダーが追随するか等の前提で大きく変わります。よって、金額を単一の数字で断定して捉えるのは避けた方が安全です。

(2)資金調達モデル(株価プレミアム)に影響し得る

暗号資産トレジャリー企業の一部は、株価が保有資産価値(純資産価値)より高く評価される局面で、株式発行や転換社債などで資金調達し、暗号資産を買い増す、という循環が注目されてきました。

ここに指数からの除外やウェイト抑制が重なると、株価プレミアムが縮小し、資金調達の条件が悪化する可能性があります。結果として、買い増しのペースや投資家の評価軸が変化するリスクがあります。

4. どんな企業が対象になり得る?(例)

MSCIの暫定リストには39社が含まれるとされ、米国・日本・中国など複数国にまたがります。代表例としては次のような企業が挙げられています。

  • Strategy(旧MicroStrategy, ティッカー:MSTR):暗号資産トレジャリー戦略を中核に据える企業として最大の注目対象
  • Metaplanet(ティッカー:3350.T):最終決定まで「Keep Treatment(ウェイト増加や新規採用を保留)」が適用されているとされ、論点化されていることが示唆されます
  • マイニング企業(例:MARA など):事業会社として扱われるか、保有比率が重い場合にどう評価されるか等、定義次第で結論が変わり得ます

なお、Tesla(TSLA)Block(SQ)のように暗号資産保有はあるものの総資産に占める比率が小さいとされる企業は、今回の「50%ルール」の論点とは距離があります。

5. 個人投資家のチェックリスト(今すぐできる確認)

イベント対応で一番大事なのは、「自分の保有銘柄がどれだけ当事者なのか」を把握することです。

確認項目 やること 注意サイン
対象銘柄の有無 ポートフォリオに MSTR / 3350.T / MARA / RIOT 等があるか確認 「株式のつもり」で長期保有しているのに、実質的に暗号資産の値動きが支配的
資産比率 決算資料のBSで「暗号資産 ÷ 総資産」を計算 50%超、または40%台後半で上昇傾向
指数採用状況 MSCI ACWI / MSCI World / MSCI Small Cap 等に採用されているか確認 指数構成銘柄なら、指数イベントの影響を受けやすい
事業の実態 有価証券報告書・決算説明・事業セグメントで「何で稼いでいるか」を確認 本業の収益より、保有資産の価格変動が評価の中心になっている

6. 短期の立ち回りで意識したいこと(リスク管理)

  • 重要日程(12/31、1/15予定、2月見直し)をカレンダー登録:材料が出やすい日を把握するだけで、無防備なポジションを減らせます。
  • レバレッジや信用取引はサイズ管理を最優先:指数イベントは一方向に動くとは限らず、上下に振れやすいです。
  • 「株で暗号資産に乗る」以外の手段も比較:暗号資産へのエクスポージャー(値動きへの連動)を取りたいだけなら、ビットコインETFや直接保有など、別ルートも検討余地があります(税制やリスク許容度に応じて)。

7. 用語ミニ辞典(ここだけ押さえればOK)

  • MSCI:世界中の株価指数を作る会社で、多くの投資信託やETFが参照しています。
  • パッシブ運用:指数に連動する運用(インデックスファンド等)のことです
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